天気の変化によって起こることのある頭痛やめまいの症状、いわゆる「天気痛」や「気象病」。
この症状に悩んでいる方は結構いるかと思いますが、効く薬があるというのはご存知だったでしょうか?
天気痛に対して使われることのある薬が漢方薬である「五苓散」です。
「五苓散が天気痛に効く」というのは本当なのでしょうか?
この記事では、現役薬剤師である僕が天気頭痛と五苓散の関係について解説していきます。

天気痛とは?
「雨の日は頭が痛くなる」「台風が近づくとぜんそくの発作が出る」「梅雨時に古傷がしくしく痛む」――。天気が原因で起きる体調不良は、医療現場では昔から「気象病」と呼ばれていました。長年気象病について研究を行い、日本で初めて「天気痛外来」を開設した、愛知医科大学の佐藤純教授は、こうした症状を「天気痛」と呼びます。気象病として最も多くの人が挙げる症状が頭痛。ほかにも、首の痛み、めまい、耳鳴り、気管支ぜんそく、関節痛、神経痛、古傷の痛み、鬱(うつ)や不安症なども気象病の症状のひとつです。佐藤先生によると現在、気象病で悩む人は日本で約1000万人にも上る推定されています。
https://toyokeizai.net/articles/-/165183
このように、気圧や気温など、気象状況の変化から頭痛や関節痛が起こることを「天気痛」と呼びます。
天気痛予報というサイトもあります。
https://weathernews.jp/s/pain/
天気頭痛(気圧頭痛)に漢方薬「五苓散」は効きます!
五苓散は「雨の前に悪化する頭痛」の約9割に有効である。また,雨の前日に頭痛が「悪化しない人」に対して「悪化する人」では約16倍の有効率であるといわれている2)(表)。この結果について著者らは「気圧が下がり始めると,ミクロレベルの水(組織液など)が脈管から漏れ始めて,ミクロの浮腫を形成し,これが重く締め付けられるような頭痛を発生させるのであろう」と考察している。つまり,五苓散が効く頭痛の本態は「気圧低下による脳浮腫」と言い換えることができる。
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=6505
このように、五苓散が天気痛に効くという医学的なデータがあるので、実際に五苓散は天気痛に効くことがあります。
天気痛は気圧が低下して、脳が浮腫むことによって起こる頭痛ですので、浮腫を改善する作用のある五苓散が効くのは理にかなっていますね。
五苓散とは?
五苓散の効能または効果は以下の通りとなっています。
口渇、尿量減少するものの次の諸症: 浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、 めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病
ちょっとわかりにくいでしょうか?
簡単に言うと、水分循環を良くする作用があり、一般的には吐き気や浮腫みなどに使われます。
また、五苓散は浮腫を改善する作用だけでなく、血行促進作用や鎮痛作用もあります。
五苓散は主に、チョレイ、タクシャ、ブクリョウ、ソウジュツ、ケイヒの五つの成分からなる漢方薬です。
チョレイ、タクシャ、ブクリョウ、ソウジュツは主に浮腫みを改善する作用があり、ケイヒには血行促進作用や鎮痛作用があります。
これら五つの成分が天気痛を改善すると言われているのです。
用法用量は?
五苓散の用法用量は、成人は1日7.5gを2~3回に分割し、食前もしくは食間に水またはぬるま湯で服用となっています。
添付文書によると、成分の割合は
7.5gのうち、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.0gを含有する。
タクシャ:4.0g ブクリョウ:3.0g ソウジュツ:3.0g ケイヒ:1.5g チョレイ:3.0g
となっています。
市販薬「キアガード」という薬もあります。
キアガードはロート製薬から販売されている一般用医薬品であり、ドラッグストアやamazonなどで買うことが出来ます。
成分をみてみると、
12錠中 五苓散エキス 2.175g
(タクシャ4.0g、チョレイ3.0g、ブクリョウ3.0g、ソウジュツ3.0g、ケイヒ1.5gより抽出)となっています。
上で説明した医療用医薬品の五苓散の成分と量、配合割合がほぼ同じですね。
市販のツムラやクラシエの「五苓散」と配合量は同じ?
キアガードではなく、ドラッグストアで売っているツムラやクラシエから出ている「五苓散」を買っても効果としては同じです。
ただ、一日量の成分を比べてみるとキアガードが五苓散エキスが2.175gなのに対して、市販薬のツムラの五苓散エキスは1.4gで、クラシエは1gです。
このように、市販の五苓散の量は、医療用の五苓散や市販のキアガードに比べてやや少なめとなっています。
二日酔いにも効きます!
上に五苓散の効能または効果を記載しましたが、その中に、「二日酔い」という言葉があります。
五苓散には利尿作用があるので、二日酔いにも効くのです。
注意事項!
比較的安全に使えるお薬ではありますが、副作用もあります。
発疹や発赤、かゆみなどが現れたら服用は中止する必要があります。
また、場合によっては肝機能障害が起こる可能性もあります。
また、服用を続けても症状の改善がない場合は別の病気の可能性もあるため、病院を受診して下さい。
薬は、自己判断で服用をしたり中断すると危険なので、医師や薬剤師、または登録販売者に一度相談することをおすすめします。
まとめ
「天気痛」と「五苓散」の関係について簡単にまとめてみました。
今まで天気痛で悩んでいた人にとっては薬があることを知らない人もいたのではないでしょうか?
また、聞いたことはあっても効果があるのか疑問に思っていた人もいたのではないでしょうか?
天気痛に五苓散は効果がありますので、注意事項をよく守って活用してみて下さい。



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