【薬剤師向け】入院中の持参薬は使用禁止!?【持参薬切替のススメ】

薬剤師向け

この記事は薬剤師の方向けです。その中でも主に病院薬剤師の方向けですが、調剤薬局やドラッグストアの薬剤師の方にも読んでいただきたいです。

病院に勤めている薬剤師が悩まされる問題の一つに、持参薬の切替があると思います。この記事では持参薬切替の問題点や解決策について書いていこうと思います。

持参薬とは?病院薬剤師の持参薬鑑別業務の流れ

持参薬とは、患者が入院してきた際に他院で処方されて普段内服していて入院の際に持ってくる薬のことです。
持参薬鑑別業務の流れとしては、患者が入院してきたら看護師から薬局に患者が内服している内容を知るために鑑別(検薬)の依頼がきます。
薬剤師はお薬手帳や薬袋などを見ながら患者が普段内服している薬の内容を調べ、一覧表を作成します。ちなみに、お薬手帳がないと鑑別がかなり面倒です。その場合患者にひとつひとつ確認したりしながら作業を進めていきます。内容を自分で把握している患者なら良いのですが、わからない患者も実は結構な割合でいます・・・(家族が管理してた、適当に飲んでいる…etc)
そうして苦労して出来上がった持参薬鑑別内容を医師が確認し、その中で中止する薬や継続する薬を判断し指示を出します。
その指示を元に、中止の薬を一包化の中から抜いたりといった作業をしていきます。

入院中に新たに薬が処方になった際には、持参薬と重複していないか、相互作用や併用禁忌の薬剤はないか等を薬剤師の目で確認します。

また、入院期間中に手持ちの薬がなくなったら代替薬を医師に提案し処方してもらう必要があります。

持参薬を継続使用することの問題点

持参薬を継続することでインシデントが発生する恐れがある

持参薬を継続使用することで起こりうるインシデントとして挙げられるのが、例えば新たに薬が処方になった際に重複投与や併用禁忌の薬剤があるのを薬剤師が見逃してしまうことです。また、中止薬が中止のまま再開されない等といった事例もあります。抗血栓薬なら重大なアクシデントに繋がりかねません。

院内で使っているカルテの仕様にも寄りますが、入院中処方薬と持参薬一覧を一画面で見比べられなかったりすると、たくさん患者がいる中で「この患者は持参薬を使っていない」、「この患者は持参薬を継続して使っている」「持参薬を使っているけどバイアスピリンは中止中」などなど、結構わからなくなります。

つまり、医師、看護師、薬剤師が誰も現在患者が飲んでいる薬剤を把握出来ていない状況になることがあるのです。もちろんそんなにたくさんあるわけではないですが、この記事を読んでいる病院薬剤師の方は光景が思い浮かぶのではないでしょうか?

持参薬を継続使用することでインシデントが発生しやすい環境になってしまいます。

これらのインシデントを防ぐためには、入院後速やかに院内処方薬に切り替えることが有効です。

持参薬切替の問題点

とはいえ、切替にも問題点があります。

医師が処方をしぶる時がある

持参薬は主に他科から出ている場合が多いです。
医師によっては専門領域以外の薬を処方することに少なからず抵抗があるみたいです。
その場合切替を依頼しても「余ってるなら持参薬そのまま使って」と言われてしまいます(経験談)。

患者が良い顔をしない時がある

特にしっかりと自己管理出来ている患者の場合は、まだ沢山薬が余っているのに切替するとお金もかかるしもったいないと言われることがあります。
また、切替の際にジェネリックは使いたくないと言われることもありますが、院内採用薬自体がジェネリックだとジェネリックで渡すことしか出来ないので説得する必要があります。

臨時採用薬のデッドストック

持参薬が院内採用していない場合、臨時的に採用する必要があります。その患者が退院した場合在庫を抱えてしまうことになります。

それでも持参薬はなるべく切り替えた方が良い!

持参薬を切り替えることの問題点は多々ありますが、インシデントを防ぐために持参薬は速やかに切り替えることが患者の利益になると個人的には思います。
余った持参薬は退院時忘れずに患者にお返ししましょう。

「入院中の持参薬は使用禁止」の根拠はあります!

それに、記事タイトルにもあるように、実は入院中は原則として、持参薬使用禁止です。

入院中の患者に対して使用する薬剤は、入院する病院において入院中に処
方することが原則であり、入院が予定されている場合に、当該入院の契機
となる傷病の治療に係るものとして、あらかじめ当該又は他の病院等で処
方された薬剤を患者に持参させ、当該病院が使用することは特別な理由が
ない限り認められない(やむを得ず患者が持参した薬剤を入院中に使用す
る場合については、当該特別な理由を診療録に記載すること。)。

「厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の
算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成 26 年 3 月 19
日付け保医発 0319 第 4 号) 第 3 の 3(2)より

定められているのは、あくまでDPC病院ですが、根拠としては十分かと思います。
もし今現在この規定が改訂されていたら教えていただけますと幸いです。僕は見つけられませんでした。

まとめ

いかがでしたか?
持参薬を切り替えたほうが管理がしやすいというのは病院薬剤師の方はご理解されているかと思いますが、問題点がいくつかあるのは事実です。
インシデントを減らし、最終的に患者の利益に繋がると信じ、持参薬は積極的に切り替えましょう。厚生労働省よって定められた根拠があるのですから。

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