【現役薬剤師が解説】薬の名前の決め方とは?

この記事では、薬の名前がどうやって決められているのか、どんな由来があるのか、具体例を挙げながら現役薬剤師が紹介していきます。

新型コロナウイルスに効くと言われている話題のアビガンの名前の由来にも触れています。

薬には二つの名前がある?一般名と商品名について

まず、薬には、一般名と商品名が存在します。
一般名とは、薬の主成分のことです。つまり成分名ですね。

非医療従事者の方がよく目にするのは商品名の方かと思います。

例えば、ロキソニン。
ロキソニンというのは、第一三共株式会社が販売する商品名です。
ロキソプロフェンナトリウム水和物というのが主成分でこれが一般名と言われるものです。

名前の決め方は自由!

今回は商品名の命名方法、由来について解説していきます。
一般名は化学物質である成分の名前なので割愛します。

商品名(先発品)は基本的に製薬会社が自由に決めることができます。

ロキソニンの名前の由来は、第一三共という製薬会社が、ロキソプロフェンナトリウムという成分名からとって命名したものとなります。

命名にはいくつかのパターンがある!?

自由に決められるので命名法の分類化はなかなか難しいのですが、いくつかのパターンに分けてみました。
ひとつずつみていきましょう。

一般名に由来するもの

ロキソニンのように、一般名から商品名をつけるパターンです。
一般名に由来する商品名はわかりやすいですね。

薬学生は一般名で習うため、働き始めてから商品名を新たに覚えなくてはいけません。
薬剤師的にはこのパターンは非常にありがたいです。頭の中で一般名と商品名がすぐ一致しますからね。

他には、降圧剤であるアムロジンがあります。
一般名はアムロジピンで、そこからとっています。

他にもたくさんあります。

ダジャレ

ダジャレで決めるパターンもあります。

例えば、カロナールという薬。解熱鎮痛剤として有名な薬ですね。
一般名はアセトアミノフェンです。

あゆみ製薬が販売する薬ですが、
名前の由来は「痛みが取れて軽くなる、楽になる」の意味を込めて命名したものです。

痛みがカロナール。

ダジャレで命名された薬は他にもあります。

アレロック

協和キリンが販売している花粉症などに使う薬ですが、
アレルギー症状(Allergy)をブロック(Block)することに由来しています。

ちなみに一般名はオロパタジンですので、商品名から一般名を連想することはできません。
ですが患者さん的にはこっちの方がわかりやすいのかもしれませんね。

グーフィス

便秘症に対して使用する下剤です。持田製薬が販売しています。
一般名はエロビキシバットですが、商品名は、Good (優れた)Feces(便)の組み合わせに由来しています。

また、藤本製薬のヨーデルという薬があります。
これも便秘症に対して使用する下剤です。
「便がよう出る」が由来だと思っていたのですが、公式のインタビューフォームによると、スイスのヨーデルの爽やかな感じをイメージさせるためみたいです。

ダジャレパターンは実は結構たくさんあります。

一般用医薬品だと小林製薬がダジャレでの命名が有名ですね。

会社名をつける

次は、会社名を薬の名前につけるパターンです。

タケプロン

武田薬品が販売する胃痛などに使われる制酸薬です。

一般名はランソプラゾールですので連想はできません。

由来は、タケダのプロトンポンプイヒビターです。

ちなみにプロトンポンプインヒビターとは作用機序を表していて、プロトンポンプを阻害することで胃酸を抑えます。

メイラックス

Meiji Seika が販売する向精神薬です。安定剤ですね。
一般名はロフラゼプ酸エチル。全然商品名と結びつかないですよね。

由来は、Meiji Relax 

会社名であるメイジとリラックスを掛け合わせています。安定剤だからリラックスということですね。

その他

パターン化できないその他が一番多い印象ですね。
やはり、自由に決められるだけあって型に当てはめるのは難しいです。

印象的なものをいくつか挙げます。

ザイザル

グラクソ・スミスクラインが販売する花粉症などに使う抗アレルギー薬で、一般名はレボセチリジンです。

由来は、最終・究極のアレルギー薬という意味を込めてアルファベット順の最後xyzとallergy(アレルギー)のalを組み合わせてXyzalとの話はよく聞きますが、公式な文献は見つけられませんでした。

ルネスタ

エーザイが販売する睡眠薬で一般名はエスゾピクロンです。

由来は、Luna(=月)+Star(=星)です。安らかな眠りにつけそうですね。

ロゼレム

こちらも睡眠薬です。武田薬品が販売しています。一般名はラメルテオン。

由来は、「健やかな眠りを取り戻し、ばら色の夢を見ましょう」との願いをこめて Rose REM から名づけられています。

リリカ

一般名はプレガバリンで、ファイザーが販売しています。
神経障害性疼痛に対して使われる薬です。

QOL 改善のイメージが可能であり、読み、聞き、書いた場合に印象が良い言葉
「Lyric:叙情詩(Music)」、「Lyrical:叙情的な」を由来としています。

なんかおしゃれな由来ですね。

エクセグラン

一般名はゾニサミドで、大日本住友製薬が販売している抗てんかん薬です。

由来は、excellent(優れた)grand(偉大な)抗てんかん剤という意味を表しています。

エクセレントでグランドなんですね。

アビガン

新型コロナに効くのではないかと言われているアビガンですが、
名前の由来が気になりますよね。

富士フイルム富山化学が販売しており、一般名はファビピラビルです。
由来は、公式のインタビューフォームによると、「特になし」となっていました。

アビガンの商品名の洋名はAVIGANです。
一般名の洋名がFavipiravirですので、aviをとってganをつけた感じですね。
今回の分類法で考えると、一応一般名に由来しているのではないかなと思います。
ganには意味はなさそうですが、どうなのでしょうか。

おわりに

薬の名前ってよく調べてみると結構面白いです。

薬の名前の由来はそれぞれの薬のインタビューフォームに記載されています。
興味ある方は自分が飲んでいる薬の由来を調べてみると面白いかもしれないですね。

今回紹介しきれなかった面白い薬の名前もまだまだありますので、また記事にしたいと思います。

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